大日如来とはどういった役割や立場、ご利益、歴史があるのでしょうか?
宇宙の中心をなす密教の根本的な仏とされていますが、更に深堀してみたいと思います。
大日如来とは
別名
摩訶毘盧遮那仏、遍照如来仏、マハーヴァイロチャナ
眷属・化身
般若菩薩、不動明王
所在
胎蔵界・金剛界の中心
立場
大日如来は真理そのもの大日如来は宇宙の真理を神格化した根本仏で、「摩訶毘盧遮那仏」とも呼ばれる。
「摩訶」はサンスクリット語のマハーの音訳で、「偉大な」「優れた」の意。『華厳経』という経典で教主とされている「毘盧遮那仏」をさらにパワーアップさせた、真言密教の中心となる最高位の仏である。
「毘盧遮那」とは太陽のことを指すため、大日如来と呼ばれる。
八世紀初頭、密教がインドから中国に伝えられた。秘密仏教の略語である「密教」とは、「顕教」に対する言葉で、秘密宗教の教え、仏の説いた真実の教えを意味している。
大日如来は密教経典の教主で、その宇宙観を図示した胎蔵・金剛界の両界曼荼羅のそれぞれ中央に位置する主尊でもある。
真言密教の教えはこの二つの曼荼羅によって統一的、体系的にとらえることができる。
曼荼羅とは存在の本質を意味し、視覚イメージで受け止める修行のため、彫刻や絵画によって表現されるのである。
胎蔵曼荼羅とは、「仏の救いの働きである大慈悲が宿る母胎のような曼荼羅」を意味する。
その核となる「中台八葉院」には、八枚の花弁をもつ蓮の花の中央に本尊の大日如来が位置し、四如来・四菩薩が取り囲んでいる。
大日如来の慈悲が、円陣をなす如来と音薩の八尊を通して放射状に現実の世界に伝わっていく様子を示している。
一方、金剛界曼荼羅は「金剛石のようにすぐれた世界を表した曼荼羅」を意味する。
仏の智の世界を表すとされ、全体が九つの「ます」に分かれているため「九会曼荼羅」とも呼ばれ、中央の「成身会」には大日如来が座っている。
金剛界曼荼羅は、現世の人間が修行によって進歩していく様子を描いている。
右下に位置する九会から修行をねることで爆発状に会をのぼり、到達点である成身会「一会」に至る悟りを開いて仏になる。
さらに今度は、衆生を救済するために会を降り、ふたたび現世に戻るのである。
釈迦如来や阿弥陀如来の像が質素な姿であるのに対して、大日如来は上半身を装身具で飾り、頭部には宝冠を戴く王者の姿で表現される
釈迦如来は歴史にあらわれた「応身仏」であり、阿弥陀如来は修行の果報にもとづいてあらわれる「報身仏」である。
一方、大日如来は真理そのものを象徴する「法身仏」であり、宇宙そのものの存在を装身具のようにまとう者とみなされ、王者の姿をとったものと思われる。
胎蔵曼荼羅の大日如来は、左の手のひらに右手をのせ、両親指をあわせる禅定印(法界定印)を、金剛界曼荼羅の大日如来は、左手の人差し指を伸ばし、それを右の手のひらでおおう智拳印(最上菩提印)を結んでいる。
宗派
真言密教の教主である仏であり、密教の本尊
ご利益
あらゆる邪魔、障害を取り除いてくれるご利益がありとされています。つまり、生者にも個人にも大日如来はご利益を与えてくれます。
※ちなみにお寺は仏様と相談するところで、神社は神様に誓いを立てる場所です。
大日如来の真言
- オン・バザラ・ダト・バン (金剛界)
- Oṃ vajra-dhātu vaṃ
- ナウマク・サンマンダ・ボダナン・アビラウンケン (胎蔵界)
- Namaḥ samanta-buddhānāṃ, a vi ra hūṃ khaṃ