薬師如来像は全国数多有、国宝級の薬師如来像は座像、立像で12体存在しており、奈良、京都、大阪に集中しています。
時代的には飛鳥から平安のものが多く、優美さとしなやかさを持った薬師如来像がそろっています。
私もいくつか薬師如来像を見ましたがその中でも唐招提寺金堂の薬師如来像が印象に残っているのでここに紹介します。
〒630-8032 奈良県奈良市五条町13−46
唐招提寺金堂の薬師如来像とは
唐招提寺金堂(国宝)に盧舎那仏と共に安置されている立像です。
唐招提寺金堂とは
金堂は国宝で奈良時代(8世紀後半)に建設せれた寄棟造・本瓦葺。
南大門をくぐった正面にその荘厳な姿を見せる金堂は、8世紀後半の創建時の姿を残す代表的な建築物です。
外観は、正面間口七間(中央間は約4.7m、両端へは次第に狭くなり、3.3m)、奥行き四間の寄棟造で、前面一間通りが吹き放ち、軒を支える組み物は三手先(みてさき)と呼ばれる形式で、その建立年代を示しています。
堂内は、連子窓から取り入れられた柔らかな光に満たされ、中央に本尊・盧舎那仏坐像、右に薬師如来立像、左に千手観音立像(いずれも国宝)が並ぶ姿は、天平時代を彷彿させる厳かな雰囲気に包まれています。
唐招提寺金堂の薬師如来
国宝 平安時代(9世紀)木心乾漆 漆箔
本尊、盧舎那仏坐像の向かって右側に安置される立像で、高さ3.36mです。本尊、千手観音像にやや遅れる平安時代初期に完成したと考えられます。伏目がちな表情などから全体的に重厚な印象がある仏像です。
昭和47年の修理の際に左手掌から3枚の古銭が見つかり、その年代からも平安初期の完成であることが明らかになっています。
有名な薬師如来像
日本における造像例は多数あり、網羅不可能であるため、ここでは有名で且つ、国宝指定像を挙げるにとどめます。
奈良・法隆寺金堂像
薬師如来坐像、制作年代は飛鳥~奈良時代
京都・醍醐寺
薬師堂像(薬師三尊の中尊、坐像、平安時代前期)
京都・仁和寺
旧北院像(坐像、平安時代)一説には空海が頼んで作らせたとの説もあります。
絵画については平安時代にさかのぼる作品は見当たらず高野山桜池院薬師十二神将図が鎌倉時代の作品として知られ、薬師如来を描いた仏画は多くない。